「棚橋弘至vs永田裕志」は今こそ見るべきストロングスタイルマッチ

2020年5月25日記

 

2011年4月3日に行われた「IWGPヘビー級選手権試合 棚橋弘至vs永田裕志」の一戦は、新型コロナウイルスに翻弄される今だからこそ見るべき一戦。その理由はストロングスタイルにあり。

 

 

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「シン・新日本プロレス」と「棚橋弘至vs永田裕志」

新型コロナウイルスの影響で発出されていた「緊急事態宣言」の解除があったこの日。しかし、いわゆる第二派・第三派が懸念される日々は続くので、まだまだ気が抜けませんよね。

 

プロレス界は観客を入れての興行は、東北のみちのくプロレスがソーシャルディスタンスを保ちながらスタート。ノアやDDT、全日本プロレスは無観客試合を実施。各団体、何かしらのアイディア・知恵で現状を乗り越えようとの野心。

 

そんな中、新日本プロレスは「新日本プロレスワールド」やスマホサイトで様々なアプローチ・企画で我々ファンを楽しませてくれています。先日もメイ社長が無観客興行のついて視野に入れているような発言があり、待ち遠しいところ。

 

と、新日本プロレスのスマホサイトでは解説の「GK」こと金沢さんの「シン・新日本プロレス」コラムが非常に興味深いところ。先日は2011年の「棚橋弘至vs永田裕志」に焦点を充てた内容に今の時代とシンクロする感覚になるのは気のせいでしょうか?

 

 

久しぶりに2011年の「棚橋弘至vs永田裕志」を新日本プロレスワールドで見返してみました。これが「ストロングスタイル」過ぎて痺れました。
当日の試合経過をなぞってみました

 

 

「棚橋弘至vs永田裕志」試合経過

前月3月に「NEW JAPAN CUP2011」にて優勝した挑戦者・永田裕志。セコンドには「青義軍」のキング・ファレ(現バッドラックファレ)とスーパー・ストロング・マシン。

 

王者・棚橋弘至のセコンドには高橋広夢(現高橋ヒロム)。若い!

 

そして中邑真輔がリングサイド席でで凝視。その隣には引退したこの試合の立会人・垣原賢人の姿も。中邑と垣原が隣同士とか歴史を感じる。

 

選手コールは昔のままで、入場後に。今は入場後すぐに選手コールを行います。タイトルマッチやG1クライマックス優勝決定戦など、特別な試合は入場後コールがいいな、という願望。
 

 

■前半
開始直後、棚橋が観客へのアピール。をしようとしたら、その間合いを許さない永田裕志。棚橋の世界観にさせない狙いか。

 

グラウンドの展開。永田は棚橋の世界観にさせまいとここでも間合いを壊そうとする。厳しい永田の姿勢に負けない存在感。
しかし、その存在感に負けない空気を纏った王者、逞しくなったこの時の棚橋弘至。

 

グラウンドの力強さは永田が上か。が、棚橋が永田の土俵で勝負しているか。

 

棚橋に張られた永田。ニヤッとした顔が印象的。「やるな・・・」といったところか。

 

 

「蹴ってこい」と右腕を上げ、脇を蹴ってみろ!と永田。「まだまだ余裕だよ」精神的マウントを取ろうとしているか。。
しかし、棚橋がエルボーでお返しで許さない。

 

 

■中盤
サッカーボールキックで場外に棚橋を吹っ飛ばす永田。
リングに戻っても、永田の膝蹴りのアメアラレ。まるで藤田和之のよう。これはキツい棚橋。
が、掴まえた棚橋は場外に向けて永田をドラゴンスクリュー!

 

両者全く引かない展開。

 

棚橋弘至として最後の「ストロングスタイル」的IWGP戦のような気がする(勝手な主観)。

 

リング真ん中、棚橋の足4の字固め。苦悶する永田。裏足4の字にしたい永田との我慢比べ。

 

 

15分経過。

 

永田を挑発する棚橋。マジ顔な永田の顔が印象的。 

 

ここから蹴りダルマになる永田。厳しい攻め。現代のIWGP戦には中々見られない、ゴツゴツしたタイトルマッチ。それはまさにストロングスタイルか。
左腕を蹴り、関節技でひたすら痛めつける永田。それをひたすら受けて耐える棚橋。まさにプロレスの原点。

 

 

20分経過。
棚橋は永田の左膝狙いに集中。低空ドロップキックにドラゴンスクリュー。武藤ムーブ爆発。

 

しかし棚橋の痛めている左腕を極めてナガタロック。そこからジャーマンからのピッグブーツ、エクスプロイダーと畳み掛け。

 

 

リング中央でエルボー合戦。永田のエルボーの回転数が上がる!
(棚橋選手のPodcastで語ってらっしゃいましたが、ここぞという時には永田選手のエルボーの回転数が上がると。)

 

今度は張り手合戦!倒れない両者!そして棚橋がひたすら受けまくる。

 

 

■後半
25分経過。

 

棚橋がグラウンドのドラゴンスクリューで形成逆転。仕上げとばかりにテキサスクローバーホールド!
リング中央で腰を落とす棚橋!
追い込まれる永田は、やっとの思いでロープブレイク。

 

ここで永田が意識朦朧気味か?顔を覗き込む海野レフェリーが印象的。それだけの戦い模様。

 

 

トップロープに登った棚橋。ハイフライフローを狙ったそのドテっ腹になんと膝蹴りで応戦!突き刺す!これはエグい。。

 

再びトップロープで永田と棚橋。永田のヘッドバッド連打!ぐったりした棚橋。その棚橋をトップロープから雪崩式フロントスープレックス!返す棚橋!

 

 

30分経過。

 

サンダーデスドライバー(垂直落下式ブレーンバスター)!返す王者・棚橋!追い込まれる王者・・・。
仕上げとばかりにバックドロップホールドへ。それを空中でを切り返す棚橋!

 

再びテキサスクローバーホールドをアームブリーカーで切り返した永田!ここで白目降臨!グイグイ棚橋の左腕を締め上げる!これは痛い・・・。棚橋ロープブレイク。

 

棚橋のスタミナがドンドン削りとられる。

 

そして永田非情なまでの投げ捨てバックドロップ!しかし返す棚橋!場内大棚橋コール!

 

しかしまだ永田の攻め。トップロープからの雪崩式バックドロップを空中で切り返した棚橋。
そこからドラゴンスープレックス発射!踏ん張る永田。いけないとわかると、ダルマ式ジャーマンスープレックスホールド!カウント2!

 

 

ここで両者大の字。

 

 

ふらふらしながら立ち上がった王者は、ハイフライフロー2連発!カウント3!

 

2011年4月3日大会DATA
大会名:「NEW DIMENSION」
会場:東京・後楽園ホール
開催日時:2011年4月3日
観衆:2,025人(超満員札止め)

 

タイトルマッチ試合結果

IWGPヘビー級選手権試合

60分1本勝負

 

<王者>○棚橋弘至
(35分30秒、片エビ固め)
<挑戦者>●永田裕志

ハイフライフローからの片エビ固めで棚橋弘至のピンフォール勝ち、王者が2度目の防衛に成功

 


試合後、田中将斗や中邑真輔のマイクアピールとうとうあったが、印象に残ったのは棚橋を認める永田の発言。

 

「新日本の立派なエースだよ」

 

(終)

 

 

受けて受けて、最後に逆転

久しぶりに見た「棚橋弘至vs永田裕志」。見返しても、壮絶なまでのタフマッチ。
いわゆる

 

「棚橋弘至vsオカダ・カズチカ」
「オカダ・カズチカvs内藤哲也」

 

にみられる「チェーンレスリング」ではなく、ゴツゴツした昔ながらの新日本プロレス。それはまさにストロングスタイルな一戦。
「古臭い」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、今見返すと逆に新鮮に映ります。

 

特に棚橋選手の受け身っぷりが素晴らしいの一言。永田選手の厳しい攻めをすかすことなく、真っ向から胸を突き出して受け止める様は、まさにプロレスの醍醐味「受けて受けて、最後に逆転する」王者の闘いぶり。2011年の棚橋弘至は本当に素晴らしいの一言。

 

この「受けて受けて、最後に逆転する」。
新型コロナウイルスに翻弄される毎日。きっと今は「受けて受けて、受けまくっている」タイミングなのでしょう。いつか逆転勝ちする日まで、ジッと我慢するべし。そんなことを2011年の「棚橋弘至vs永田裕志」に感じさせられました。

 

今こそ、ある種「ストロングスタイル」ですよ−−−